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白黒写真 福井 義直
アメリカでは確実に白黒写真の良さを再認識してきている。毎日配達される新聞や雑誌でも、白黒写真のページが増えてきている。やはり、白黒写真の持っているカラー写真では感じられない独特な感情が、そこから伝わってくるのだろう。
特に、芸術写真ともなれば、白黒の濃淡の繊細にして微妙な表現が命であり、カラー全盛期時代を迎えても、尚人々が、忘れられないイメージから来る強力なインパクト、白黒写真がすたれない原因でもある。今ごろは、インクジェット技術の発達でカラーはもちろんのこと、白黒もいとも簡単にプリントを作ることができるようになった。
ところが、その白黒が未だ銀塩時代の白黒の持つ領域にまで達していない。デジタルカメラ、ソフト、プリンター、写真用ペーパー、インクジェットのメーカー達が、それぞれ研究を重ねてはいるが、コスト的にあわないのが現状だ。近い将来、白黒写真を主に撮り続けているフォトグラファー達が要求する域に達することができるのだろうか。
もちろん、デジタル白黒で、簡単に安く早くある程度の結果が得られる白黒写真で、十分満足だと思う人たちも多いが、今まで暗室の中で、フィルム、印画紙、現像液などと真剣に立ち向かえ、芸術写真制作を目指していた人たちは、今後もその白黒写真の持っている独特な味を求めて、暗室作業を楽しんでいくことであろう。
ところで、ライカカメラで、1941年代発表されたライカ?Cクロームボディで、赤色のシャッターカーテン付きが作られたことがあることを知っておられる方は少ないだろう。1930年代、コダックが赤色シャッターカーテンを発明した。それは、ライカカメラを不用意に、レンズ側を太陽に向けて持った場合、太陽光線がフィルム面(焦点)にあるシャッター幕を焦がし、ピンフォールを作ってしまう事故が起きた。
ちょうど、自分が小学生の時、理科で虫眼鏡を太陽に向け、紙の上に焦点を結ばせ、しばらく経つとぼーっと煙がでてきたのを覚えている。コダックでは、黒のシャッター幕では、すぐピンフォールができるのを防ぐため、赤色のシャッター幕を開発したらしい。白黒フィルムは、ORTHOCHROMATICフィルムで、赤色光以外の全ての色光を感光する、ピンフォールを防ぐため赤色シャッター幕を使っていた。
私は、そのカメラを、ライカのコレクタブルとして持っている。時々は、棚から下ろして眺め、触り、作動し拭く事を繰り返し、大事にしているが、白黒写真をこれから楽しむため、そろそろこのカメラで撮影開始したいと考えている。
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